Y-ARANの活動の多くは、1990年代の終わりから2000年代の初めにアメリカで始まった「新回復擁護運動」(New Recovery Advocacy Movement)に源流があります。
依存症からの回復の道は人の数だけある
新回復擁護運動では、依存症(アディクション)からの回復の道は人の数だけあり、そのいずれの方法にも価値がある、と考えます。
この考えに基づき、専門家や回復者、家族が取り組みを進めた結果、アメリカでは2,350万人のアルコール・薬物依存症者が多様な方法やスタイルで回復の道を歩いていると言われています(出典=長編ドキュメンタリー映画『アノニマス・ピープル(無名の人々)―回復者の顔と声―』、日本語版制作=依存症からの回復研究会)。
回復のための組織と拠点
新回復擁護運動では、アメリカ各地に、
- 回復擁護の運動を進める組織、
リカバリーコミュニティー組織(RCO=Recovery Community Organization) - 「回復の顔と声」を社会に示す、回復の拠点、
リカバリーコミュニティーセンター(RCC=Recovery Community Center)
が生まれました。
地域のリカバリーコミュニティー組織の多くがリカバリーコミュニティーセンターを開設・運営しており、複数のセンターを運営している組織もあります。
こうした取り組みの結果、アメリカでは、依存症からの回復がしやすい社会づくりが進んでいます。
Y-ARANはリカバリーコミュニティー組織
Y-ARAN(特定非営利活動法人横浜依存症回復擁護ネットワーク)は、新回復擁護運動におけるリカバリーコミュニティー組織(RCO)にあたる組織として設立されました。
Y-ARANは、次の2つの活動を進めます。
- 社会に向けたアドボカシー活動(回復擁護活動)
- 依存症の本人、家族のための回復支援の活動
Y-ARANは、回復の拠点、リカバリーコミュニティーセンターとして、2020年12月から、「横浜リカバリーコミュニティー」(YRC)を運営し、さまざまなプログラムを実施しています。
新回復擁護運動の5つの理念
新回復擁護運動は、活動を進める上で、以下の5つの理念(kinetic idea)を掲げています。
- 実際に多くの人たちが、依存症から回復している
- 回復への道はたくさんある
- 回復は協力的なコミュニティーの中で促進される
- 回復は主体的なプロセスである(強制されて進むプロセスではない)
- 回復は成果の始まり。回復により、依存症で失ったものを当事者や家族、社会に還元する機会が生まれる